【売切】贋作 吾輩ハ猫デアル
※初版函付。函と本体に経年変化によるシミ、背と中身にもヤケありますが読むには差し支えありません。本体のグラシン紙に破れあり。
1906年に水がめに落っこちた漱石の猫が、這いあがるとそこは1943年だった。酒好きのドイツ語教師、五沙弥先生の家にふらりとはいりこみ、風船画伯、役人の出田羅迷、共産党員鰐果蘭哉、馬溲検校などなど、ひとくせもふたくせもある風流人たちが繰り広げる珍妙な会話を聞く。漱石の弟子であった内田百閒が、老練なユーモアたっぷりに書きあげた『吾輩は猫である』の続篇。
- 筆者
- 内田百閒
- 価格
- ページ数
- 305 P
- 発行年度
- 1950年
- 発行元
- 新潮社
- サイズ
- 19.4 x 13.4 x 2.4 cm
店長の感想
漱石の弟子、内田百閒が正々堂々と師匠のあの超有名作品の贋作版として出したもの。『猫』には200近いパロディ本がありますが、表紙や扉ページの猫は漱石の本ほぼそのままの絵で、装幀まで模しているという芸の細かさには、もう笑いを通り越して感心します。ラストシーンは「池の縁を右に回って」という言葉で終わりますが、これは本家の冒頭で吾輩が「池を左に回って」苦沙弥先生のところに辿りつくところと対をなしていると(勝手に)思っています。