パリで仕入れたクロモ（クロモリトグラフィ／石版多色刷り）のカード。これらは1800年後半～1900年代にかけて、おもに当時のデパートや衣料品・食料品店などが広告用として作成し顧客に配ったトレーディングカードです。カラー印刷が珍しかった時代のもので、当時のベルエポックの風俗が伝わってくる貴重なものだと思います。これはAu Bon Marcheの宣伝カード。パリの万国博覧会を真似て派手なショーウィンドーを作ったり、初めて売りだしを行うことで大勢の集客に成功した世界最古の百貨店です。作家のエミール・ゾラはこの店を「消費信者のための消費の大伽藍」と呼んでいたほどです。(モノクロ画像参照)
このカードは長靴を履いた猫のシリーズになっていたと思われますが、残念ながらこの2枚だけしか入手できませんでした。猫が王様に「わたくしの主人からの贈りものです」と恭しく獲物を差し出している様子が描かれています。紙自体にも細かいエンボスが施されており、絵の微妙な色づかいも美しい一枚です。裏面には「当店は1900年の万博の審査員ですよ･･･」などのいつものお店の宣伝文句が入っています。