【売切】灰色猫のフィルム
※初版、帯&グラシン紙の表紙つき。表紙にやや汚れとスレありますが、中は美本です。
母親を刺し殺した“僕”は、自転車で家を飛び出し駅へ走る。目的地もなく電車に乗り、終点で降りるが行くあてもない。公園のトイレで自分を殴り、髪を切って自らの風貌を変え、見知らぬ街をさまよう。やがて所持金が底をつき、空腹が限界に達したとき、わずか3円でパンを譲ってくれたのはホームレスのハタさんだった。誘われるまま“僕”は、経歴を詐称してホームレスたちとテント小屋で生活をともにするようになる。他人の事情には立ち入らないという暗黙の了解のうえで、なぜか親切にしてくれる彼らに、少しずつ心を開き始めるが、自分の可愛がっていた猫を“僕”が殺した、と勘違いしたハタさんにバットで襲われ、思わずハタさんの目を鋏で刺してしまう。ホームレス集団を飛び出した“僕”は、再び街に出る。母の死を報じるニュースでは行方不明の長男を警察が追っていると伝えている。“僕”は公衆電話の受話器を取る―。第32回すばる文学賞受賞作。
- 筆者
- 天埜裕文
- 価格
- ページ数
- 128 P
- 発行年度
- 2009年
- 発行元
- 集英社
- サイズ
- 単行本19.2 x 13.8 x 2 cm