【売切】ゲーテの猫―もしくは、詩と真実
※初版、図書館除籍本のため、ラベルが貼ってありますのでC(やや悪い)ランクにしました。背にヤケ、表紙と天にシミありますが、中は綺麗です。
母親がジョゼフィーヌの飼い猫だったため、パリのチュイルリー宮殿に産まれナポレオンの陣営地までついていき、その後ゲーテの家に紛れ込み、「色彩学」の実験台になる…。なんともすごい人(猫)生を送ったある哲学に造詣のあるオス猫の物語。「牡猫ムルの人生観」が下敷きになっていると思われる猫の一代記です。この一見素っ頓狂な設定も無理なく読ませてしまうのは、やはり作者の力量といえるものでしょう。原作は1907年にデンマークの作家・スヴェント・レオポルトによって書かれた“Goethes Kat”。『吾輩ハ猫デアル』とほぼ同時代の作品です。日本ではあまり知られていませんが、欧州や日本人でもドイツ文学者の間ではよく知られた本だったようです。内容は猫の目を通してナポレオン(武)とゲーテ(文)、実践と思索という大きな二つの方向から語るというユニークなものとなっています。海外版「吾輩」もやはり皮肉っぽいインテリなのですね。少々難しい本ですが、歴史と哲学にご興味のある方に。
- 筆者
- 著/スヴェント・レオポルト 訳/源 哲麿
- 価格
- ページ数
- 263 P
- 発行年度
- 1984年
- 発行元
- リブロポート
- サイズ
- 単行本 19.4 x 13.8 x 2.2 cm