【売切】猫と庄造と二人のをんな
※2021年再版、新品定価販売のお品です
猫に嫉妬する妻と元妻、そして女より猫がかわいくてたまらない男がくりひろげる軽妙な心理コメディの傑作。安井曾太郎の挿画収載。併録は美女とペルシャ猫への愛を高らかにうたう未完の小品「ドリス」。
一匹の猫を中心に、猫を溺愛している愚昧な男、猫に嫉妬し、追い出そうとする女、男への未練から猫を引取って男の心をつなぎとめようとする女の、三者三様の痴態を描く。人間の心に宿る“隷属”への希求を反時代的なヴィジョンとして語り続けた著者が、この作品では、その“隷属”が拒否され、人間が猫のために破滅してゆく姿をのびのびと捉え、ほとんど諷刺画に仕立て上げている。
- 筆者
- 谷崎潤一郎
- 価格
- ページ数
- 172 P
- 発行年度
- 2013年
- 発行元
- 中央公論新社
- サイズ
- 文庫本
店長の感想
猫好き必見の書。谷崎潤一郎自身も猫を溺愛していただけあって、猫の描写が見事です。そしてどうしてこんな情けない男がモテるのか私にはさっぱり分かりません。
コレットの『牝猫』を思わせるお話です。昭和12年に出た創元社版と同じく安井曾太郎の挿画が入っていたり、表紙カバーの竹内栖鳳の「斑猫」だったりと、お得感のある文庫本です。